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雪雪/醒めてみれば空耳

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2016-01-26 叙景集

_ 885

海に、嬉々として月光たちが降り注ぎ、いちばん深い魚の鱗で燦めき弾けるのは誰か、競争をしている。

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_ 886

全便欠航が続く飛行場が、降りてくる飛行機の夢をみている。その飛行機から降りてきたあなたはまだ私と出会う前のあなたで、この飛行場の建設計画を依頼されているので、歩きながら周囲を見回し、参考にしようとしている。

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_ 887

冬の乾いた空気に荒れた、彼女の頬の肌のジオラマの、パーツをいっこ無くしてしまった。

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_ 888

「出身高校の美術室のにおい」という香水を買う。

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_ 889

雪の結晶を歯車とする機械の作動音を思い出させる耳鳴り。

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_ 890

「幽体離脱はたびたび経験していたんですけど、今朝は眼が醒めたら体が起き上がって朝ごはんを食べて出勤して行ってしまったんです」

「ふむ。いわゆる肉体離脱ですな。とりあえず開けたところに出ましょう。室内にいると、体が戻ってくるとき窓を突き破りますから」

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_ 891

わたしのすきな本をすきになってくれた人をすきになった。

ひどいことがあってその人と別れ、その本も手放してしまい思い出すこともなくなり。

何年もたって、呪いが解けるように思い出したとき、その本のことがいっそうたまらないほどすきになっている。

もう絶版のその本を、ネットオークションで探して検索しているうちに、あの人がその本をレヴューしている文章を見つける。

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