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雪雪/醒めてみれば空耳

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2016-06-24 空気ではない風が吹き渡る

_ いちばん好きな画家・版画家は吉田博かも知れない。

空間把握力は圧倒的であり、至芸と言える絶妙な省略による実際には描かれていない細部の精密さを見つめていると、発見と感嘆と驚嘆が折り重なって、足許が抜けて落ちてゆくように感動に加速度がある。殊に水面の表現は右に出る者がない。この右に出る者がないというのは慣用語法に乗じて盛っているわけではなくて、ほんとうに吉田博の右側には誰もいない、という意味である。

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生誕140年の巡回展が郡山市立美術館に来ている。10年前の若冲のように、あるいは25年前のフェルメールのように、いまはまだ力量の割に一般に知られていない吉田博なので、会場はとってもすいている。順路を無視して何度もおなじ画の前に戻ってきても大丈夫。この画の前に一日いてもいいな、という一枚の前に立ち尽くしていても大丈夫。

会期の前半と後半で作品がだいぶ入れ替わるので、もう一回行こうと思っている。近隣の方は是非足を運んでいただきたい。一生のあいだに、これだけの芸術の奔流に心を揉まれる幸運はそう何度もないだろう。その後の人生が変わってしまう人も、何人かいるはずだ。

今まで僕も画集でしか作品を知らなかったのだが、印刷と現物の差が大きい。打たれすぎて今まで大好きだった吉田博の記憶がかすむほどだ。すごいと思う作品の順番も、すっかり変わってしまった。

そして大好きとはいえいちばんというわけではなかった吉田博が、いちばんかもというくらいありがたい存在になった。

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会場に入って、最初の壁面に学生の頃の作品があり、一度曲がって最初期の作品が何枚か、そして、次の面の最初に吉田博ならではの、たちまちあたりの空気が変わるような、魔法の奥行きをたたえた水彩画「日光」がある。

ここに達した人が、呻いて後じさるのがたのしい。「おう」と言う人がいて「うわ」と言う人がいて、溜息の音色で「これは」と吐く人がいて。そして気を取り直してそろそろと近づく。ガラスにひっつくくらいまで。自分がなにに驚いたのか。その謎を解こうとして。

とはいえ、これとて吉田博の代表作というほどのものではないが。

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郡山の後は福岡の久留米市美術館、長野の上田市立美術館、東京の損保ジャパン日本興亜美術館を回るようだ。そちら方面の方々は、なにとぞチェックせられたい。

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