_ 6月24日に、寝仔さんの質問に応えて「認識の外の外について考える時に旅の道連れになってくれる本」の話をしたとき、入不二基義のことは当然思い浮かべたのだが、主著と思う『相対主義の極北』が品切で、近刊に『あるようにあり、なるようになる 運命論の運命』があったので、こっちを見てから話題に上せようと思い、あえて言及しなかった。
入不二哲学は「微に入り細に穿って」という慣用句がぴったりの緻密さが身上であり、重箱の隅をほじくっているうちに世界の果てに到着する驚きがある。消し去れるものをすべて消し去ったあとに、残った最後のものを掴み取ったとき、それをさえ消し去る方法を考え始める。そういう哲学である。
読者は、風もなく、地平線もない荒野に立ち尽くす。
『相対主義の極北』のときは、「最強のアイテムである伝説の剣を見つけるまでのクエスト」みたいなわくわくどきどきがあり、この昂揚は作者自身が、自分の考えの行程に見いだされる風景に驚いていることから発していると思うのだが、今回の『あるようにあり、なるようになる』では、使い慣れた伝説の剣を思うさま振るっていてあたらしい主著と言える仕上がりだと思う。思うけれど、読者としての勝手な言いぐさなのだが安定感という長所が短所でもあって、やっぱり入るなら『相対主義の極北』から入ってほしいなあと思ったのであった。
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_ 寝仔さんが紹介してくれた『デフ・ヴォイス』は、すでに読んでいまして、この本はストーリー以上に、手話にまつわる知見と事情が読みどころだと思うし、じっさいそこのところに触発されたというレヴューをよく見かけるけれども、寝仔さんもすでに読み終わっていればきっと思ったと思うのだが、この本に触発されるような人には『かもめの叫び』を読ませたいなあと思った。復刊を切望。
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_ それでもって『バベル17』『かもめの叫び』『デフ・ヴォイス』『わたしの生涯』あたりを結ぶ、感覚と言語とその障害みたいな文脈に連なる作品として、ぜひおすすめしたいのがジョン・ヴァーリイの「残像」。この作品を表題とした短編集は品切だったのだが、このほど『逆行の夏』と題して、ヴァーリイのベスト短編集が出た。むろん「残像」も入っている。
「残像」を読んだときの、「読む前には思いも寄らぬところまで運ばれてしまった」という驚きは今も忘れない。
こういう衝撃的な作品は、その衝撃を受け継いだ後続の作品を次々と生み出すので、今まっさらで読んで発表当時の衝撃があるかどうかはわからない。衝撃があるならあるで、薄れているなら薄れているで、いずれにしてもこの作品の力を、あるいは影響力を表しているんだと思う。
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ベストアルバムだの傑作集といったものは、例外なく「なぜこれが入ってあれが入らん!」と言いたくなるものだが、『逆行の夏』は例外で、ほぼ完璧なラインナップである。ブルース・スターリング『蝉の女王』、グレッグ・イーガン『祈りの海』、テッド・チャン『あなたの人生の物語』、サミュエル・R・ディレーニイ『ドリフトグラス』あたりと並ぶ、SFの宝に仕上がった。
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