_ 考えたこともないことを質問されて、即答する自分に出会うと、自分の答えに自分で驚くことがある。人みなわが師、というけれど、自分自身にさえ教えられてみると、自分って頼りないなあと思うし、自分って頼りになるなあとも思う。
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「 ねえ、微塵(これはとあるローカルな場所での僕のHN)のトーテムってどんなの?」ナナイに訊かれて、それは考えたこともなくて、即答もできなくて、一週間くらいずっと考えていた。トーテム、トーテム、トーテム。答えはあると思ったが、手探りする考えの指先になにも触れてこない。
「小夜啼鳥」と言ってみようかとも思った。この鳥の名が光って見えるのは、フローレンス・ナイチンゲールの後背光で、それは「戦場の天使」と称ばれた看護師の理想像としてのフローレンスではなくて、卓越した統計学者として疫学の発展と普及に多大な貢献をした知的冒険者としてのフローレンスが、僕はとても好きだから(ちなみに小学館の伝記漫画シリーズ中『ナイチンゲール』の巻は、学習漫画史に残る傑作です)。
でもこれはちょっとこじつけくさくて、ナナイの求める答えではないなあ。
トーテム、トーテム、トーテム。ぶつぶつ。
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するうち、さっき台所でスクワットしていたときに思いつくともなく思いついた。トーテムのことを考えていなかったときに。
「次に思いつくのだが、思いつく予感のない着想」これだ。
でもこれは思いついてしまったので、このトーテムの名自体はもうトーテムじゃなくなったけど。
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特別の関係の特定の性向の名前…?小道具のようなトーテムを思い浮かべてたからひっくり返るような眺めのトーテムを前にしてもう微塵、閃きで彼方が見えないのですけどって思ってます。その点、小夜啼鳥はまだ読まれていない詩のようで開けるの楽しみなのだ。ここは夢だなと了解したいの。醒めたいのだけどなかなかなんだ。(『インセプション』、小説が映画化されたのじゃなくて、本としてなくて、すごくどうしてないのよぉーって思ってます。)