おちこちで、ドアや窓がばたんばたん云ったりみしりみしりと家鳴りがするのは、台風に備えて準備運動しているのだと思う。
ひとけのない公園で、ひとつだけ揺れているぶらんこは公園の寝言である。
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◆夏◆
舌の先にひとりのすらりとした真冬がとまり、ぺこりとあいさつしてしゅっと消える。くちびるを舐めるとひやっとして、そこだけに十二月がきている。じきにその位置までひとひらの雪が落ちてくる。雪のまわりを薄い冬がくるんで、くちびるまで護衛してくる。
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◆夢のまた夢◆
あんまりこわい夢だったのでバネ仕掛けよろしく跳ね起きた。
汗だくで息を整えていると背筋がざわついた。振り向くと、さっきまで頭の中にあった悪夢が、枕の凹みにしっくりおさまって置き去りになっている。悪夢のほうはまだ睡眠の中にいるつもりらしく、警戒心のかけらもなく骨が抜けてたるんだ牛の首を想わせる外形をふかふかと蠢かせている。
夢を外側から見るのははじめてだったが、気が落ち着くと俄然好奇心がまさって、覚めたまま夢をみるとどうなるものか興味が湧いてくる。そーっと枕に頭をおろしてみると、今度は夢のほうがびっくりしたらしい。耳には聴こえない悲鳴を発してたちまち霧散してしまったのだが、その一瞬、悪夢が悪い夢をみたのをみた。
>公園の寝言<br><br>こういう表現がとても好きです。<br>昼間は毎日お疲れなのでしょうか。<br>起こさないように、そっとベンチに座って耳をすましてみたいですね。
☆ありがとうございますLanaさん。<br>759もよろこんでおります。よろこんで元気になって出かけていって、友人や恋人を見つけてくるでしょう。そうしたら759の代わりにぼくが書きます。