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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-08-08 叙景集

_ 753

ゆうべだった。盲導魚に導かれて沖へ出てみた。

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_ 754

井戸の底の暗闇から濡れた禿頭がのぼってきたように見えたのはピンクの風船で、声をかける間もなく空の色の濃いところを目差して泳ぎ去る。

あれを膨らましたのはどんな息かと思ってときめく。

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_ 755

現物支給で社長夫人の体液をもらう。

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_ 756

修太郎さんは私が教師だったとき好きだった中学生であるが引っ越したら隣に住んでいた。ひさびさにばったり出会ったとき、私より先に修太郎さんが私に気付いて声をかけてきたので、それはぶち壊しなので殺したろかと思った。修太郎さんが卒業してゆくときに心中してしまおうとまで思い詰めたことは忘れていたのだが、ついについでに思い出した。無茶苦茶に好きだったのである。会ったらすかさず「あ、しゅたくんじゃない?」と言う練習を気が向くとしていた。テンポもイントネーションも完成していたのだ。とまあ、こういうことをそのまんま友人に話したら「意味わかんない」と言われたが、友人をぶち殺してやるとまでは思わない。急いで話題を変えるためににわか雨が降ってきたので、いっそ「ばいばーい」と言って走って帰った。私は歳のわりに足が速いので諦めずに洗濯物を取り込む決意だ。可能な限り早く家に着くようにペース配分をしたが、修太郎さんが私の下着を盗んでいる最中だったのでペースが乱れた。家並みのあいだからちらりとだけ我が家の物干し台が見える位置を通過するとき見えた。体調がスローモーションになった。私は眼もいい。

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_ 757

運命がなにもない鳥が生まれてしまう。