«前の日記(2006-08-03) 最新 次の日記(2006-08-05)» 編集

雪雪/醒めてみれば空耳

2002|10|11|12|
2003|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|10|11|
2005|02|04|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|11|
2013|05|06|07|09|10|11|12|
2014|01|03|04|06|08|09|10|
2015|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|
2016|01|03|04|06|07|08|09|11|12|

2006-08-04 叙景集

_ 746

ひとりだけを湿す霧雨のように名前がわたしに降ってきたときにはまだ物心がなくて、それでも名前はまださだかではない物心を狙ってしがみつく。短い脚で。

.

_ 747

桃と林檎をサイボーグにする手術に蜜柑が反対する。

.

_ 748

川で溺れていた水を掬い上げて、泳ぎを教える。

.

_ 749

破られた約束は火曜日に収集される。百の約束から、ひとつのあたらしい約束がリサイクルされるのだ。あたらしい約束に、百度破られた記憶は残っていないのだけれど、ばらばらになった約束でできているせいで、千度破られたような気がしてしまう。「そんなはずはない」と自分に言い聞かせるから、いきおい百度のことも思い出さない。

.

_ 750

踏み外さぬよう慎重に睫毛を渡る。

.

_ 751

顔を洗い落としてしまい洗面器の水面に笑い返される。

.

_ 752

地球の自転がいきなり反転したので夕焼けが次の瞬間朝焼けになる。