頭が冴え渡って眠れない。羊を数えようとすると地平線の向こうから、土煙とともに大群が接近してくる。いちどきに数百から一千頭が柵を越える。壮観である。いくら冴え渡った頭でもいっぺんに千いくつかを数えるのはつらいので、両側の丘の距離を狭めて、柵の差し渡しを絞る。三百二十二万九千頭を数え上げた後、続く千頭を数え上げたか数え終えなかったか定かではないが、その千頭がほとんどはまだ空中にいた辺りで就眠に成功したのは定かである。羊達も柵を跳ぶのをやめる。私を起こしてしまうかもしれないから。すでに柵を越えてしまった羊達は丘を回って粛々と群れに合流する。合流する際、まだ跳んでいない羊が追いつくのではなく、すでに跳んだ羊が引き返すのは、まだ跳んでいない羊は無限にいるから。
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