言葉を置けば言葉が
自分が言葉であることに気付き
次の言葉を呼ぶ
詩とは
言葉を城のように建て
王家を樹て
バルコニーに姫を立たせて
数行をもって侵略すること
底にいて見上げる
頂にいて見下ろす
視程の羽ばたきのしぐさで
体感で静止するうちに天体が見えてくる
天体に降り立てば
系の階層的つらなりのなかで
落ちながら落ちながら落ちながら落ちている
ことの均衡として私は
ここにいることを許される
私は立っている星の中心に向かって落ち
星は軌道に沿って星系のなかを落ち
星系は銀河系の回転方向に落ち
銀河系は銀河群を落ち
銀河群は銀河団を落ち
銀河団は超銀河団を落ち
超銀河団はフィラメント構造を引き摺りながら宇宙を落ちる
(ゆるゆると落ちる)
宇宙は超宇宙の中で煮える
(激しく煮える)
城を振り返る