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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-04-18 叙景集

_ 670

気候帯の推移に伴って花たちは南へ旅する。

一年に一歩ずつ。

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_ 671

波打際でゴム手袋が、波に引かれまいとして無い爪を立てる。

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_ 672

生きてゆく勇気が手摺を伝って、夜の病棟の階段を登っていった。

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_ 673

必要があって一枚の書類を捜す。 それは見つからずに記憶にない古い手紙を見つける。 読み返してみて、また忘れると思う。

捜していたことを忘れていた一枚の書類を見つける。 これを捜していたときに見つけた古い手紙のことを思い出す。 どんな手紙だったか思い出せなくて、捜せない。 捜せないとなると思い出したくなる。 見つければどれを捜していたか思い出すだろう。そう思って手当たり次第に捜す。 すると贈り物としてもらったまま、読むのを忘れていた本を見つける。 もともと読みたかった本なのにどうして忘れていたのだろう。 贈ってくれた人を忘れたかったのだろうか。 開いてみると、そこに書かれている文字に見憶えがない。 これは何語なんだろう。

気がつくと読み終えている。 我を忘れて読みふけってしまった。 なにを読んだか思い出せないけれど。

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_ 674

あなたの家は土台からゆっくりと身をもぎ離し、わたしをあやす。