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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-03-31 線の街

_ 頭のなかでなにかが割れる。

ぱきゃん。

割れたか。

なにが割れた。わからない。

,

かけらが足の裏に付着する。思い出したことの足の裏に。

好きな人のことを思えば、その人の足の裏に。

足の裏の体温に溶けて、におってくる。

足の裏の厚みを便箋とする手紙。

.

光がにおうときより速く、におってくる。

日付をいくつも追い越して、忽然とにおってくる。

においの濃淡に滑り込むように路地に入る。

においは鼻の死角に入る。

.

記憶のなかにしかない街が、吊り糸に起こされる緑色の線細工のように

みしみしと立ち上がる。

この街でしか買えないものを買おう。

握り締めた掌のなかに手汗のふりをして滲む貨幣を握り締める。

あとどれだけ時間があるかわからない。

.

空で

雲のように見えているのは雲ではなくて

砕けた時刻がもくもくと散り広がっているのだ。