_ 家族で異国に移り住んだとき、親たちは異国の言葉にしばらくとまどい続けるが、おさない子どもたちはいつの間にか適応してしまう、という話をよく聞く。
未知の言語を吸収するセンスは、女性は初潮を境に男性は精通を境に衰弱する、という説がある。つまり生殖が可能になると、子育ての状況を想定して語学的才能は守りに入る。子どもの未成熟な言語の影響は受けずに、大人の言語を子どもに一方的に学ばせるために。
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仕事を離れたところでも本のことについて尋ねられる。本で食ってきたわけだし、読むという経験もたくさん積んできたから、それなりに悟ったことはある。ある種の質問は繰り返し受けて、おなじことを何度も答えた。これからも訊かれると思うから、差し出がましいかもしれないけれど言っておきます。
とても魅かれるものがあって、すごく大事なことが書いてある気がするけど、今の自分には歯が立たないから、いつか読もう。そう思える本があったら、そのときに読んでください。関心のあるうちに。その関心は、遠からず失われます。
あまりにもわからないところは飛ばしてもいい。なんとなくわかるところだけでも読んでください。きっと退屈するでしょう。しかし人は、読み取ったと思う以上のものを読んでいる。受けたと自覚できない影響も受けている。わからないのに魅かれる、ということは将来芽吹く芽が、「今種を播いておいて!」というメッセージをよこしているのです。播かなかった種は芽吹かない。今、読んでおかないと、読めるようになるいつかは来ない。
人は成長とともに、生理的に強制的に守りに入らざるを得なくなる。そうでなければ、社会が保たれないから。自分を器ごと変えてしまうような、まあたらしい視野への欲求は本人の許可もなく衰弱し、既知のよろこびのヴァリエーションをなぞるばかりになる。今の自分にはまだ歯が立たないものへの憧れは、そもそも発生しなくなる。だから、ある人の行き着けるかもしれない感覚的な限界は、想像以上に早い年齢で決まる。限界なんて視野に入らない頃に、決まる。
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とはいえ、もしやあなたがけっこう齢を食っていて、それでもなお「わからないのに異様に魅かれる」なにかに出会っているなら、それは生理のバイアスを超えるほどの強さで訴えてきているのだから、いっそう量り難く幸運な出会いかもしれない。破滅的な出会いかもしれないけど。
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