_ おなじ道を何度も通る
.
通られるほうの身になって
ひたひたする
足裏の
字数をかぞえる
時間は
経過することにしか関心がなく
数え終わって脇に置いた
足跡は
さらわれて
歩まずに去る
記憶だけが
過去から
時間よりも速く追いついてくるけれど
いきおいで
私をも抜き去って
未来へ落ちてゆく分は
すれちがう
一瞬しか
思い出すひまがない
未来で
立ち止まって
待っていてくれる
記憶は
もはや
記憶ではない