_ 長い橋を自転車で渡っているとき、ちょうどおなじ速さ高さで、欄干際を並行して滑空するカラスに気付く。
驚いた。
近くで見るとカラスは怖いくらい大きい。でも驚いたのは大きさではない。
病気なのか何か浴びたのか、翼も身体も黒白のまだらで、それも白のほうが多くて、まるでサッカーボールの精霊だ。
かれが河岸に向かって高度を下げるまでの七秒。こんなに長い時間、飛ぶカラスを間近に見たのは初めてだし、こんな奇態なカラスも初めてだし。
粗略に漂白されたカラスは橋の下に姿を消した。
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ーーむ、なんか風が粉っぽいぞ。
燐粉でも撒いていったか。