妊んだ時計を帝王切開して、ちいさな時計を取り出す。
耳許に寄せて、眼を閉じる。
生まれたばかりの、まだ短い一秒一秒が、頼りなく聴こえる。
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願い事を言い終えるために流れ星を打ち返す。
名前を書き忘れられた答案用紙だけでできた再生紙の魔力を使ってラブレターを書く。
そろそろ引っ越そうと思っていたら、引越しが絶滅した。
ジャングルジムの中に博物館が絡まっていて、どちらにしても使い物にならない。
博物館から子どもたちが這い出してくる。見学していたのか、陳列されるのに飽きたのか、ジャングルジムの支柱のあいだにぼたぼた落ちてくる。地べたに転げて、枯葉みたいにかさかさいう。
そのうち市の職員が、子どものおでこに付箋を貼って、回収してゆく。その後ジャングルジムに残された付箋の控を読んで、心当たりの親が受け取りにゆく手筈になっている。
窓の外を落ちていく人が、あいさつしていったが、答えるひまがなかった。