自分の後姿を見送る。
かげろうにまぎれて自分が消える頃、自分に肩をたたかれる。
.
煙草の自動販売機の前に、茶柱が立っている。
水のない沼を訪ねて
浅はかなほとりに佇んで
縫われた霧と
貼り合わされた雲を
あやしながら修繕する
岸辺にこぼれた雲の内臓は
連れてきた家内がひまつぶしに食べてしまう
よい風が吹くので、音楽のほころびを繕ったあと、陰干しする。
指に刺さっている塔の、三階で待ち合わせをしていたのを、つい忘れて抜いてしまう。
蜘蛛の視線で張られた蜘蛛の巣に、視線が絡まって目がごにょごにょする。
「地震!」と思って目覚めると家が火事で、家は川に向かって必死に疾走している。