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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-07-06 今 ぼくの目の前で

_ 降ることを忘れた雨が

中空で途方に暮れている

はんぶんは雲であるまま

もう雲にもどることはない

.

下界では濡れることを忘れた舗道が

意味不明のわらべ歌のように

「しとしとしと」と

口ずさんでみたりしている

.

待ち切れずに落ちた木の葉ができるだけ宙にとどまろうとして

右から左へ

そしてそのいきおいで右へ

空気の坂を駆け上っている

.

ざわめく街は津波の直前に引く潮のように

うごくものもうごかないものも

けはいとともに

遠ざかってゆく

.

.

世界の進行を遅らせている

なにか張り詰めたもの

.

.

雨も舗道も街も

それが破れる瞬間を

知らず

待たされている

.

.

.

君が涙をこらえている今