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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-06-05 叙景集

_ 237

翼のある娘が滑空しながら、天から落ちてきた眼鏡をはっし!とかけた。

大地に刷られた新聞を読むために。

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_ 238

降り止んだときにはじめて

ああ降っていたのだなと気付くような

忍びやかな雨

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そのような恋がいま

じぶんの心に降りこめていることには

気付かずにいるひと

.

_ 239

大きなビルの影を抜けたところで出くわした少年が、声をかけてくる。

「あなたじゃない、あなたの後ろにいるやつに用がある」

誰だろう?と、振り返ろうとすると、そのまま自分の意志ではない力で頭が180度回り、入れ替わりに前を向いた後頭部が

「ひさしぶりだな」

そう聞き覚えのない声で言う。

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_ 240

懐妊されることはできるが出産されることはできない子どもへの告知を言いつかる

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_ 241

籾殻の枕に片耳を落すと、かたい雪を踏みしめる音が聴こえる。

さく。ざく。さく。ざく。さく。ざく。さく。

右と左から歩いてきて、耳の下で二人しばし立ち止まり、また左右に別れてゆく。

左に去った人がまた、右からあらわれる。

そのとき左からくる人は、聴き知らぬあたらしい人。

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