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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-06-01  叙景集

_ 233

学校から帰ると、キッチンのテーブルの上にお母さんからの書置きがあった。

「箱の中の島々からお嫁さんを二人もらってくる」

お嫁さんを二人もなにに使うんだろう?というよりこれじゃ、お母さんが行ったのか、ぼくに行けというのかわからないじゃないか。

ぼくは覚えたばかりの舌打ちをしてみる。

「ちっ」

うまくいったのでもう一回してみる。

「ちっ」

ぼくの名前は時計ではない。

「ちっ」

おなかがすいてるけど出かけなくちゃ。

.

_ 234

おそろしい魔道書というふれこみだったが、おもしろいばかりだ。どうにもおもしろいので読み進むごとに妻や同僚に話して聞かせていたが、みないやな顔をする。どうしてわからないのだ、おもしろがっているのは俺ではないのに。

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_ 235

西からの光は見えるのに、東からの光は見えないという障害。

一部省略されてしまう乱反射。

照り返しだけの夜明け。

頭をめぐらしたときだけよみがえる思い出。

.

_ 236

「おまえはくびだ!」という夢から醒めた途端、海に落ちた。

一帯に背広姿の眠った男が、次々落ちてくる。

水煙の音符。オシロスコープ。

落ちた男の上に落ちてくる男もいる。

「雇ってくれえ」と誰かが叫ぶ。