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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-05-31 叙景集

_ 228

白い文字として舞い降りてくるゆらゆらと

ゆらめいているうちにほどけてしまった天上の

手紙手紙手紙手紙手紙

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_ 229

ほんとうのことを言えば許してやると言うから「富士は日本一の山」と答えるが早いか、富士山が大噴火して原形を留めない惨状がテレビに映った。

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_ 230

夜中の台所で「水道」と太い声で唸ったのは蛇口である。

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_ 231

図書館の扉が粉々に砕け、怒濤のように本が脱走してくる。

黒雲のような本の群れが、はらはらと落丁しつつ西の空に去ったあと、

呆然とした司書がよたよたと歩みでてくる。

その手に一冊だけ残った本を、私は奪取して次女にプレゼントしなければならない。

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公平を期すために。

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_ 232

つむじ風に沿ってめまいする、その手ほどきを