_ ぶるぶるっと身震いをする。
それがぶるぶるぶるぶるぶるぶるっと続いたら、驚くであろう、気味が悪いであろう。
そんなふうに本州も気味が悪いのではないか、と思うほど長い長い地震であった。
震度6や5、というところが広範にあるが、その割りに人的被害が少ない。地震に驚いて自宅の二階から飛び降りた十八歳の少年が腰を打って病院に運ばれた、という情報が繰り返しニュースで流れている。この少年は有名になってしまうであろう。
_ 営々と「家庭の地学」によって堆積した我が家の本の地盤が緩み、広い地域にわたって崩れた。床一面が見渡す限り本で埋め尽くされている。
まるで、書物の海である。
ああ、この海を整理して積み上げなければならないのか、そう思っているつもりがいつの間にか、ほんとうの海を整理して積み上げる情景などを夢想して呆然としている。
_ おざなりに垂直な海水面ごしに、一斉に振り返るマグロの大群と眼が合う。