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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-04-02  道によって夢みられた都市

_ そこには行ったことがない

硬く引き締まった雪のうえには

足跡さえ残らない

.

愚か者としての責任

自分の判断を信じないという責任を果たすために

.

そこには行ったことがない

.

宿命に欲望はなかった

運命に意図はなかった

.

.

なにげない日々のいとなみとして

理解を絶するものを相手に戦うこと

戦いという概念さえ共有しないものと敵対すること

自分などもはや存在しない場所で

意味もなく価値もなく

美しくもない宝物を見つけること

宝物と呼べばそれは蔑称であるような宝を

小皿から沢庵をつまみあげるように

口に入れる

,

相応しいものなどいないが故

それはなにも待たない

手にしたものも手にされたものもそれと知らない

.

そこには行ったことがない

.

.

ただ偶然だけが戦線を動かす

すべて

届いてのちにしたためられる手紙のような生き方で

ありとあらゆる奇跡のなかに紛れるたったひとつの奇跡でないものを

書き付ける

.

道によって夢みられた都市に到る

道の知らない道

.

そこには行ったことがない

そこは辿り着く場所ではない