_ もしもわたしたちが、いまよりずっと高速で代謝していて、太陽なんか止まって見えて、一日に何世代も交代するような生き物だったら、日時計で世紀を計り、いまわたしたちが氷河期を想うように夜を想い、二畳紀の森のいきれに想いを馳せるようにして夏を夢想するだろう。
そんな「速きものたち」もおなじように、音なんか止まってみえる「もっと速きものたち」を想像する。
「もっと速きものたち」は、活発に行動するとすぐに壊れてしまうから、至極のんびりと暮らす。ふとした拍子に、波束が収縮する「過程」さえ垣間見ることができる。ぼくの下瞼に溜まった涙に都市を浮かべ、瞬きによって滅びる。と同時に、滅びない。