_ 街角を考えのように曲がると、見覚えのない通りに出る。
銀色の棒を適当に曲げて建物のふりをしたものたちが、見られる直前までしていたことをぴたりとやめて、かしこまった姿勢で建っている。
見覚えはないが、通りのほうはこちらを知っている様子でもある。
こんなところに曲がり角を設けたのはなぜ?
今に始まったことではないが、考えの考えることは、何気ないときほど胡散くさい。
_ 道なりに進んでも目的地が近づいてこないときは、自分の気を逸らしておいて、いきなり角を曲がる。今さっきしたみたいに。それで意外な景色だったら成功です。
「そろそろ潮時ですのでよろしく」そう粉をかけておけば、言ったことを忘れたころにぼくは、いきなり角を曲がる。
いつも上の空で忘れっぽいのも、この技法のためかも知れない。
_ けどだめだな。この程度の見覚えのなさでは。
電信柱だけが、街路の主旨に賛同できない風情で、変哲なく電線を張り巡らしているのが、意地らしいといえば意地らしい。
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