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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-01-29 疲労の次の季節は春

_ 山に登る人が時折後ろ向きに登って筋肉を休ませるように、たまに違う使い方をしないと脳もへとへとになる。

_ で、今へとへと。ぴくりともしない感じだ。

右耳と左耳、それに両耳に聴こえる三種類の耳鳴りが、たがいを遮ることなく鳴り渡っている。遠く隔たったみっつの寒さの海岸に、同時に立っているみたいだ。

_ じっと眼を閉じて、熱のように蓄積した疲労を冷ます。

ほの暗い視野がだんだんと明るんでいき、みっつの水平線から湧き上がる雲のように、遠くから、湿り気を帯びた言葉がゆっくりと還ってくる。離れては雲に見えても、それは無数の羽ばたくものたち。中空に舞い、不意の慣性に目覚めながら、発芽の季節を察知する種子のように、こちらを察知している。我勝ちに飛んで来る。話されようとして、記されようとして、交配されようとして。

_ たぶん抽象的なものたちにも、繁殖の本能があるのだろう。