_ ちくま文庫の『パブロ・カザルス 鳥の歌』を探し回ったが、どこに埋もれたものか見つからない。カザルスの言葉や、エピソードを集めたこの本を探し始めたのは、ピーター・S・ビーグルのことを考えているうちに、向こうからパトリシア・マキリップが起き上がってきて、二人のことを思い巡らすうちに、『鳥の歌』の中のとあるエピソードを読み返したくなったからだ。いまぼくの念頭にあるのはたしか、グレゴール・ピアティゴルスキーの談話だった気がする。
『鳥の歌』は見つからないので考えていたことを今はまとめられないのだが、考えていたことを忘れたくない気がするので、考えに付けておく名前のように、この文章を書き残しておく。
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才能があれば選択肢が増え自由度が増し変化できる方向が新しく生まれる。だから天才どうしは凡人どうしより似ていない。優れた凡人と凡庸な凡人の格差より、優れた天才と凡庸な天才の格差のほうが遥かに大きい。そういうわけで、天才的人物の天才的な逸話はけだし新鮮である。その種の逸話に食指が動く人なら、『鳥の歌』は読み逃せない。
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卒然とピーター・S・ビーグルのことを考え始めたのは、今日創元推理文庫の『心地よく秘密めいたところ』が品切重版未定になっているのを発見したからで、来るべき日がとうとう来たかと思い当店の在庫をチェックしてみると、仕入れてあった五冊は二冊売れ、残り三冊は返品されてしまっていた。
当店にはもう心地よく秘密めいたところがない。
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『心地よく秘密めいたところ』には、それが置かれた空間を心地よく秘密めいた場所する力がある。
まだあちらこちらの店頭に『心地よく秘密めいたところ』は残っていると思う。自宅に『心地よく秘密めいたところ』を持っていない人は、買っておいたほうがよいかもしれない。そうすれば、心地よく秘密めいた場所が書店の棚の一画から飛び立ち、自宅の棚の一画に舞い降りてくる。周囲の本たちも、ときめくことであろう。
Hi People<br>How are you doing?
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Awesome read, well done
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