_ 元太田出版の長至巳さんは、編集のセンスを持った営業マンで、人間関係まで編集する。
長さんなくしてぼくの人生は語れない、というのは大袈裟ではなくて、長さんが繋ぎ引き合わせてくれた人間関係がなかったら、ぼくの人生は袋小路に入り込んで、今頃は身動きがとれなくなっていたのではないかと思う。
長さんはぼくを誰かに紹介するときには「天才書店員です」と言ってくれるので、掴みは最高だったけれども、書店員としての総合力、という文脈で語るときにはぼくの名前を挙げることはなかったから、鑑識眼は確かだ。ぼくはどう転んでも書店店長とか書店経営者の器ではないので。
その鋭敏な眼力で、遠くを見るように近くを見詰めているから、長さんと話していると、どんどんやる気が出てしまうのでした。
筋金入りのロマンティスト。地球上にロマンティックなものはたくさんあるが、ロマンティックになれるのは人間だけであって、人間がロマンを失ってしまえば世界からロマンはなくなってしまう、ということを知り抜いている人。長さんは、長さんなりの仕方で、物語を守る者なのだ。
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ぼくはいつも、太田出版の本に関しては習慣的にチェックして、できるだけ棚に置くようにしていたし、なにか仕掛けるチャンスをいつも探していた。
長さんが太田出版にいたからこそそうしていたのである。太田出版が強くなれば、長さんの力が発揮される機会も増えるだろうと思うからだ。長さんの周囲で芽吹く可能性の芽が、すくすく育って欲しいからだ。
そして、確信を持って言うのだが、そういう書店員は、日本中にたくさんいたはずだ。
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社長交代を機に、太田出版は社是も社風も変わってしまったんではないかなあ、という予断は、刊本を眺めていて抱いたことだったが、この春で長さんが太田を辞めることになったと聞いたときには、びっくりはしたけれども、やっぱりか、とも思った。
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長さんはメディアファクトリーに移籍されることになった。
ぼくなんぞが祈らなくても、どうせまた活躍されるに決まっているけれども、ぼくとしては、メディアファクトリーの品揃えと仕掛けに、せっせと手をかけることなるだろうし、あちこちで互いに面識があったりなかったりする書店員たちが、そのようにするだろう。長さんを応援するために。
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ぼくにとっては太田出版の長さんというより、長さんの太田出版だったし、これからは長さんのメディアファクトリー、というわけである。
おめでとうメディアファクトリー。
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(もちろんこれからも、太田出版からすてきな本が出たら、その本はプッシュしていきます)
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