_ 冥王星が惑星でなくなることを、悲しんだり惜しんだりする声も多いけれども、「歴史上76年間だけ惑星だった星」というのは、時が経つにつれ格別にロマンティックなひびきを帯びてくると思うし、「九惑星の目立たない一個」であるよりはもっと、人々の心に詩情を吹き込んでいくと思う。
_ 冥王星が惑星だった期間は、歴史上でも特段に奇妙な時期のひとつだろうから、文明がいましばらく存続すればそのうち、「冥王惑星紀における文明の変容と混沌は、いまも私達の心を掻き立ててやまない」とかなんとか、時代の称号あつかいになったりするのではないか。
_ 76年という期間は奇しくも先進国の平均寿命に近いから、冥王星発見とともに生まれ降格とともに死んだ著名人がきっと見つかって、なにかと象徴的に引き合いに出されそうな予感もする。