そういう羽目になるとは思っていなかった男と寝る羽目になる。ことが終わると男は眠り込みいびきをかき始める。このいびき、たしかに聞き覚えがあると女は思う。前にも一度くらい、この男と寝たことがあっただろうか。忘れているのか。
枕に頭を沈めて想いをめぐらすうち、女も眠りに落ちてゆく。夢の中ではちょうど夜祭の最中で、わびしい祭囃子が星と森のあいだを流れていく。提灯の列に導かれ女は歩く。ここはどこ、嗅ぎなれない夜気。でもこの音色は聞き覚えがあると思う。懐かしい人に手を引かれて行った気がするよ、この祭りに。
女は、雲にまみれる飛行機のように、祭りに突っ込んでゆく。
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かさぶたを剥がしたくてたまらなくなり、痕が残るから剥いじゃダメダメと自分に言い聞かせるけど、かさぶたなどできていないので遣り場のない剥ぎたさが空転してきなくさくなってくる。
ときどきこういう気分になる。
どこかに生き別れた双子がいるにちがいないと思う。
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昨日まであったはずの体臭がない。ものさびしい。探偵社はこういうものも捜してくれるのだろうか。ノウハウはあるのか。
【このにおいに心当たりはありませんか?】
とりあえず洗濯前の下着を電柱に貼って尋ねるが枚数が足りない。
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肌のない顔が微笑む為にいっとき唇を借りて、すぐ返す。
雪雪さん、お久し振りです!Lanaです。<br>どの記事にコメント差し上げたらいいのかわからなかったので、こちらに失礼します。<br>先日お話した『記憶の国の王女』ですが、やはり邦訳版は手に入らなかったので原書の『The Great Good Thing』を購入しました。<br>それから、原書の方で『Into The Labyrinth』という続編が出ているのはご存知でしょうか?<br>まだ最後まで読めていないのですが、冒頭は「とても大きな素敵なこと」の日本語版が大量に出版されたせいで、読者が一気に増えた上に時差が発生するからシルヴィ達は昼も夜も休む暇なく大忙し、という場面から始まっていました。<br>より読者と本の中の世界の関係に現実味が増したみたいで、親しみも沸いて面白いです♪<br>こちらも邦訳版が出るといいなと思っているのですが。
『Into The Labyrinth』ご存知でした。Lanaさんのブログで知ったもの。<br>原書読めるって羨ましいなあ。続編も傑作だったら、「邦訳出せー!」って騒ぎ立ててみましょう。感想待ち。<br>『記憶の国の王女』も文庫化ならんものかなあ。