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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-07-04 自信と自由

_ 「書店員を続けていく自信がないんです」

つかえる喉からやっと出てきたその言葉が、あんまりにも切迫しているので、

「生き続けていく自信がないんです」という意味なのだと思った。

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言いたいけど言えないことが溜まりすぎると、言わなければならないことの言い方がわからなくなる。

心にたくさん蓋をしているから、想いが流れることのできる水路が限定される。

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話していると、ときどきちょっとだけ蓋が開く。ちょっとした隙間から、あふれてくるものが多過ぎるので、その人は泣き笑いする。笑うときは泣いてしまうし、泣くときは笑ってしまう。

「どうして私が言えないでいることが、あなたに言えるの?」

そうではない。あなたが言ったんだ。あなたが声には出さずに言ったことを言い換えているだけ。

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ながいあいだ蓄積してきた苦痛は、少しずつ解放するのがいいと思う。

そのうち、ただ笑うことも、ただ泣くこともできると思う。

しぜんに、自信も戻ってきてくれるだろう。

自信というのは自由の言い換えだから。

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自由が多過ぎる場所では自信も多過ぎる。

だから、不自由から出発できるのは幸運なんだ。出発できればだけど。