_ すんごく嫌いだというその強度が、好かれたいという欲望の深度だったり
正しいと信じている程度が、まちがいである可能性の指標だったり
認識することが困難過ぎて、かえってくっきり記憶に残ったり
恐怖や不安や絶望が、幸福感の支えだったり
分析が可能になったとき、理解が不能になったり
静止・沈黙・透明が、最大の運動性への初期条件だったり
あらかじめ奪われていることが、獲得への臨界だったり
わからなさが露骨であるために、わかる場合より情報量が多かったり
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それからそれから
八方塞がりになった場合だけ有効な突破口とか
実感を追究すると捉えどころがなくなるとか
答えを忘却することによって、はじめて問うことができるとか
限界を悟ることじたいが、限界を超える端緒であるとか
好奇心が湧いてこないこと、その「湧いてこなさ」に興味をそそられるとか
才能がないときにだけ、到達できる神髄とか
説得力が抗い難く強硬であるほど、懐疑のための位置エネルギーが培われるとか
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あるいは
想起がすなわち忘却であって
忘却がすなわち保存であって
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さもなくば
完璧であるものにはひとつの長所もない、みたいな