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雪雪/醒めてみれば空耳

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2004-03-27 いつのまにか訪れた天使の日

_ 齢をとるごとにリチャード・ブローティガンを好きになるというのは、なにかに逆行しているような気もする。

ずっと前、まだ晶文社のブローティガンがどこの本屋にも並んでいた頃に、手にとってみたことはある。『アメリカの鱒釣り』は代表作というからためしに買った。おもしろかったけれど、その頃は言葉の上に足の裏を付けて歩くように読んでいたので、「こんなにいきなり曲がったのでは、曲がるばずの角を曲がりきれずに角のたばこ屋でたばこを買ってしまうではないか」と思った。

_ たぶん、高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』がとても好きになって、何度も読み返しているうちに、それと知らずブローティガンを好きになっていったのだと思う。

高橋訳の詩集『ロンメル進軍』を読んでみたら、すでに大好きになっていることに気付いた。次に『突然訪れた天使の日』で、

「「いい出来だ」と男はいった、そして」

という詩に出会った。

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_ 「いい出来だ」と男はいった、そして、

そのドアから出ていった。なんの

出来なのだ?ぼくらはその男に一度も会ったことは

なかった。それにドアなんかなかったのだ。

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_ 『アメリカの鱒釣り』も読み返した。ぜんぜんちがう本になっていた。それでも詩集のほうが好きだったが。それにもう詩集以外はほとんど品切になっていた。

最近、河出文庫から『西瓜糖の日々』が出て、これは詩集より好きになった。

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昨日、文春文庫の超短編アソロジー『Sudden fiction2』を100円で買った。ブローティガンが一編入っていた。もうタイトルを忘れている。本を持ってこよう。

—そうそう「サンフランシスコの天候」だ。これはすごかった。ブローティガンはときどきドアのないところから出ていってしまう。部屋を出たいから死ぬ、みたいに。この小品も読み終える直前まではドアなんかなかったのだ。

巻末の作者紹介欄を読むと、この作品は「『芝生の復讐』収録」とある。『芝生の復讐』読みたいな。古本屋の店頭でいつか出会うだろうか。昨日はおなじ版元のエイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』も100円だったし、なんとなく会えそうな気。

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