_ なにか考えているうちに考えが分岐して少し寄り道してから元の筋道に戻ろうとするともはや、さっきまで何を考えていたのか分からなくなっている。
自分がなにを考えていたのか考える時間が、考える時間より長い。
忘れないようにこまめにメモを取るが、翌日になると自分が書き留めたメモの意図が分からない。
本を読み進んでいくごとに、前の方になにが書いてあったか思い出せない。けれども気にしなければおもしろく読み進める。意外なオチが付けば、適宜おどろく。
思い出せないだけで、憶えてはいるようだ。ぼくの思考はほとんど、意識の外で行われているのかもしれない。
しかし時に、忘れてはならないことがあったはずだという焦燥感だけがついてまわって、なにも手に付かないことがある。これは困る。