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雪雪/醒めてみれば空耳

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2003-04-10 叙景集

_ 199

長い長い夢の旅路の終わりに、ついに夢の女神の座所にたどり着く。

女神はしどけなく寝そべったまま、振り向きもせずに言う。

「あんたもう死んでるから、この夢、醒めないほうがいいよ」

.

_ 200

昨日とはなにひとつ似ていない一昨日は 明後日の妹ではない

.

_ 201

「とても信じられないわ。こんな話」

「信じるも信じないも君の自由だよ。あらゆる言葉はあらゆる意味をあらわすことができるから、全部作り話で、全部事実なんだけどね」

「その話ほんとう?」

「その質問が本気ならぼくの話は嘘」

「なら嘘ね」

「その結論は嘘」

「OK。正しい合言葉だわ。さ、入って」

「ごぼごぼごぼ」

.

_ 202

鳴らなくなった目覚まし時計が、一日二回むずかる。

.

_ 203

窓の外を眺めていると、着慣れぬ和装にとりあえず体を突っ込んだ感じの蜜柑が、心許ない足取りで通り過ぎて行った。

成人式だとすれば、果実としては破格の長命である。

匂いに魅かれてか、うすく眼を閉じた少年がひとり、少し遅れてついていった。