_ 言葉は蜜蜂みたいにせっせと働いています。にんげんからにんげんへと、すごい速さで飛び回っています。あんなに一生懸命なのはきっと〆切があるからなのでしょう。にんげんという種の季節が変わる前に、蜜を集めてしまわないといけないんだ。
なんでも次の季節の変わり目には、いまにんげんが言葉として使っているものは、言葉ではなくなるのだそうです。
言葉はお野菜やお肉やお米や果物になって、食べられるようになるらしい。
二人で一緒に苺を食べれば、おなじ苺感情になれるのです。骨髄の田舎から出てきたばかりの初々しい血の色です。ぷつぷつのある空間です。いい匂いのおしらせです。
そして少し距離をおいてみれば、石垣促成栽培で育った恋の味が、匍匐枝の蔭から誰かをねらっているのが視えるかもしれない。
ここに書いたこの言葉が、未来の苺の原種になったりするのかもしれない。