かたちなきものを狩る犬のごときものたち。
かれらが持ち寄った断片を、もとよりパズルのピースであったかのごとく、ひとつの、大きなかたちに組み上げてゆく。断片の意思に従い、収まるべくして収まる位置に。
ばらりと、散逸する。何度も。飽かず組み上げる。
どのかたちにしても残るおなじかたちの空洞。その空洞を恋い、そこを埋めるものを乞い、焦がれる。犬のごときものたちのごとく、空洞をあさましく嗅ぐ。
泣きながら目醒める。
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おおきな雪とちいさな雪が降る。おおきな雪はとてもゆっくり、ゆうらりゆらり落ちてくるので複雑で不ぞろいな結晶がよく見える。きらきらした都市をうす氷のように持ち上げて、おもてうらに貼り合わせたみたいだ。
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「眼球のない少女のように見えるでしょうが、わたくしはエンジンです」
「弾痕のある果実に見えるでしょうけど、ぼくは修理工です」
「わしゃ徹頭徹尾作業台じゃ。あいさつは抜きでとっとと仕事にかかってくれんか」
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森が乗り組み雲を頂いた船が海を連れて飛び立つ。