_ 本を整理していて、なにげなく手に取った『文藝別冊 Jミステリー』に、津原泰水の名があった。「天使解体」という短編である。
ものぐさで、いちばん近所の本屋にしか行かないものだから、そこにない本は読めない。津原泰水は内輪で評判がよかったので興味があったのだが、ないものは読めない、と思っていたところなのでうれしかった。
ところで、文体そのものが好きでこの人の書いたものなら内容はどうでもよい、と思う書き手はアニー・ディラードと金子千佳だ。他にもいたが、飽きたり、ぼくの脳が変わったりするうちに、いつどこから読み始めても安直に魔法が発動するのは、この二人だけになってしまった。
_ これはもしや三人目になるだろうか?「天使解体」を読んでそう思ったところである。
係り結びの付け外しが絶妙だ。話題が転換する“継ぎ間”が読みどころで、フェイクやステップの間合いが心地よい。前を歩いていた女の子がいきなりくるっと振り返るような文体である。といっても躍動的な語調ではない。静かな語調で意味がメロディアス。
俄然好きになった。
もっと読みたいが、お金がないから「天使解体」を読み返していよう。七回も読めば、短編集を読んだのとおなじだ。
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