_ 名。そして名たち。そして、名たちについての名。
_ 文字を連ねて意味のある文章をつづることは、さして難しいことではない。けれどどうして、さして難しいことではないのか、それは理解しがたい。
今もこうして、なにかしら書けてしまうことにぼくは驚く。いくら書いても慣れない。なじまない。
ここに書き付けていることはどうやら、ぼくが言いたいことではなくて、
言おうと思って書き始めたことではなくて、
どうやら自分が書いたはずの文章を読み返せば、どこから湧いてきたのかそれは、不測の意味がうるむように滲み出していて。
だのに次の言葉へと導かれるぼくの指は知らんぷりをして今しも、「知らんぷりをして」と書いてみせる。それはきっと「知らんぷりをしていることさえ知らんぷりのものたち」からのしらせなのだ。
言葉では言えないことはたくさんあるけれども、言葉が言っていないことさえ、ぼくたちは読んでしまう。言うつもりもなく、言った気もしないことがここに、書かれてしまうなんてかたじけないことだと思う。ご親切に感謝する。
_ 樹に出会うために森へゆくように、言葉の瞳に映ろうとして文字を書く。
分泌液のように滴った言葉を指でねぶり延ばして、漂ってくる意味をくんくんと嗅ぎ付けて、経験にない匂いがなぜか同定されてもそれは、たとえようもなくだから名付けようもないという名前が付いた、匂い。
じぶんがなにを言うために喚び出されるかという予感もなく、ただ誰かの指先から滲み出してしまえばもはや、記憶だったものたちは乾き切る前にじぶんを名付ける他ない。
名。そして名たち。そして、名たちについての名。
_ 言葉たちは、ながいながいひとつの名前のように書かれたならば、またいつか喚び出される希望がある。
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