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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-10-19 叙景集

_ 794

言霊の足跡に残る体温を暗視鏡で追尾してゆくと、脳の中の、曲がり方を知らない曲がり角を曲がっていった。足跡が冷めるまでに歩幅は憶えた。

歩調を験す。ハミングしながら、何度も何度も。

あやうく曲がれそうになったと思うと、曲がり角のほうが私を曲がってくる。「狭いな」と呟く芯だけが熱くて、表面はほんのりとぬくい。

.

_ 795

「私か姉を選んでほしいのよ」

「選ばないとだめなわけ?」

「好きなほうを選んでほしいの」

「好きなように選べって意味? それともどっちを好きになるか決めろということ?」

「どっちでもいいの。好きなほうを選んで」

「それは選択権の押し付けで」

「選択することに選択の余地はないの」

「『いやです』と言ったら?」

「それを私の名前にするわ」

「いやです」

「はい」

本日のコメント(全9件) [コメントを入れる]
_ いやです☆ (2006-10-21 03:45)

『神の目の小さな塵』、出ましたね! 買いました! <br>雪雪さんお薦め本を並行読み状態なので、まだ 2 mm ほどしか読みすすまず、<br>「SFにあんなことができるのか、と感心」までは、まだ遠いです。<br><br>榊原さんの「感心」は『ヌーン・ムーンを見るために』で/を探すとして、<br>雪雪さんの「感心」もありましたら、<br> SF 後学のために、ぜひお聞きしてみたいです。<br>お気が向いたら+お時間のあるときにでも。<br>(これ、解説ないんですね、下巻にも。)<br><br>ところで叙景集には、名前/命名の「縦筋」もあるような気がするこの頃。<br>イーヤーデスなら、古代ギリシャあたりにいたりしそう。<br>と思う、虹を指さすな(001)でした。<br><br>今日はとりあえずなので超短編レス、のはず。たぶん、わりと w

_ 雪雪 (2006-10-21 23:28)

☆ななさんへ<br>以前SILKさんに頼まれたときには、まだここの使い方に慣れなくて消し方もわからなかったんですけど、今回は消しておきました。チャーミングなコメントだったと思うんですけど。

_ 雪雪 (2006-10-21 23:55)

☆いやです☆さんへ<br>ぼくが感心したものの中で、これからSFに入ってこようとする人に薦めるとすれば…<br>グレッグ・イーガン『しあわせの理由』表題作<br>テッド・チャン『あなたの人生の物語』収録「顔の美醜について」<br>ジョン・ヴァーリイ『残像』表題作<br>オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』とその続編『死者の代弁者』<br>いくらでも出てきますが、相手が虹を指さすな(001)さんならこのあたりを験していただきたい。<br>あ、そうだ! 「ユニコーン・イン・シュガーキューブ」に反応してくださった虹を指さすな(001)さんなら、あれだ!<br>グレッグ・イーガン『祈りの海』収録「貸金庫」

_ 雪雪 (2006-10-22 22:16)

☆ななさんへ<br>ありがとうございます。どうぞご遠慮なく。<br>こちらからも立ち寄らせていただきたいと思います。

_ いやです☆ (2006-10-23 07:07)

>グレッグ・イーガン『祈りの海』収録「貸金庫」 <br><br>わぁ、たくさん。ありがとうございます! では、まず「貸金庫」から。<br>「ユニコーン・イン・シュガーキューブ」を読んで、二重によかった w<br><br> 6 つとも、とりあえず検索してみたのですが、粗筋紹介だけでは、<br>やはり自分で読んでみないと、正確には分からないですね。(当然か)<br>で、どんな相手と思われているのか分からず、そっちもコワイ……。<br><br>ただ、きっと奥歯さんは、こんなふうに、<br>2002年8月26日(月)のリストをいただいたのかなぁ、と思いました。<br> 6 冊(特に「貸金庫」)で、こんなに喜べちゃうんだもの。<br>あれを、さらさら書かれたら、何と言うか、感動、しますよね……。<br>美しすぎる。<br>その場面、よく想像してしまいます。<br><br><br>>2002年8月27日(火)その1<br>>私が語り得ることはすなわち、あなたに伝わり得るかもしれないことのみで<br>>ある。<br>>読む者としてのあなたの限界が、書物としての私の限界である。<br>(……)<br>>(雪雪 二階堂奥歯が東京の大学に入ってからくれた長い長い手紙の一部<br>> 1996夏)<br><br>この「読む者として……」の文、何回か出てきませんか?<br>「限界である→になる」くらいにやわらげて、書棚に貼っておきたいです。<br><br>上の日付けの『ボトルネック』も『さよなら妖精』も『朝の少女』も、<br>このように読んでもらえて、うーん、幸せですね。<br><br>と、今日もまた自分の限界を感じるわけですが、まぁ、めげずに。<br>「貸金庫」は検索レベルでも「ユニコーン〜」の仲間っぽく。読みます!<br><br><br><br>ところで、埋もれてもったいないのは雪雪さんレスなので、連れてきました。<br>(書物としての雪雪さんを、もっと限界の広い誰かのところに。)<br><br>>ちなみに最近文庫になった、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』は、まっしぐら<br>>に類書*だと思います。      <br><br>>>しかし最後の 3 ページが深くて、 <br>>あの最後の3ページ*とひびきあうなあ、と思う作品は、村上春樹『アフ<br>>ターダーク』、浅野いにお『虹ヶ原ホログラフ』、マイクル・スワンウィッ<br>>ク『グリュフォンの卵』収録の「クロウ」、そしてグレッグ・イーガン『順<br>>列都市』あたりでしょうか。 <br>                 *註)『記憶の国の王女』の。<br><br><br>>>以前『記憶の国の王女』には類書がないかも、とのことでしたが、 <br>>あ、それは不用意に言葉を使いました。強い意味では、やっぱり類書はない<br>>みたいです。 <br>>現実に遡行してくるようなメタフィクションはたくさんあります。すぐれた<br>>作品は丹念に編み上げられた繊細な製作物で、たとえば『はてしない物語』<br>>などは、あの装丁も物語の一部ですから、少年文庫なんかにしたら雰囲気ぶ<br>>ちこわし! という感じがいたします。 <br>>それにひきかえ『記憶の国の王女』は、たとえば邦題なんか作者の意図をぜ<br>>んぜん汲んでないんですけど、あんまり気にならない。物語のくせに丈夫と<br>>いうか元気。自力でどこまでも旅して行きそうな。本の力が本の外に及ん<br>>で、元の形を失ってしまっても生き続ける、微笑ましいしぶとさがありま<br>>す。そこがとっても特別だと思うのです。 <br>>物語たちが自立して、新天地を求めて旅立つときには、その先頭をちょこ<br>>ちょこ走っていそうです。 <br><br><br>では、とりあえず御礼まで。<br>虹を指さすな(001)でした。

_ いやです☆ (2006-11-03 05:46)

お礼です! グレッグ・イーガン『貸金庫』、読みました!<br>「イーガン受容体」、ありがたく私にもあるようです。<br>『ユニコーン』つながりとは、もっと「きゃ〜」な感じかと思いましたが、<br>いい意味で期待を裏切られ、しばし「ぅくー!?」と考え込みました。<br> SF の枠があってこそ、生きるモティーフが、あるのですね。<br>しかし雪雪さんに向かって感想を書き述べるほど恐ろしいこともなくて、<br>すっかり遅くなりましたが(次の日には読んだのに)、以下いちおう……。<br><br>                、、<br>  ありふれた夢を見た。わたしに名前がある、という夢を。<br>     、、、<br>  今日、わたしの貸金庫には、一枚のスクラップが加わるだろう。<br>           、、<br>  そのとき、たぶん、それが、わかる。<br>  いや、しかし、そんなことは問題ではない。<br>      、、<br>  わたしがいる。それがわかった今、全ては終わり、全てが始まるのだ。<br>  ありふれた夢。わたしはもう、その夢を見ないだろう。<br><br><br>ぅぅぅ、感想というか、ただのマトメだなぁ…… w<br>「虫に変身」「まだ恐竜がいる」など、「朝おきると」シリーズの傑作かと。<br>この私が“宿主”ではない、という可能性も、ゼロではないのですね!<br>あ、これは何かの言い訳に使えます w<br><br>でも、やはり“わたし”を取るのですね。<br>“宿主”として生きていく展開になるのかと思っていました。<br>( 2006 年の日本でならば、そのパターンも読んでみたい)<br>“わたし”として生きることは、<br>“わたし自身の物真似”をして生きていくような気もしますが、<br>そんなツライ選択が、非常に前向き/必然的なものとして、<br>やはり結末的によしとされる、のパターンなのは、ちょっと複雑。<br>(ひびきあい本、ちょっと道は別ですが、以前ご紹介の、<br> 坪倉優介『ぼくらはみんな生きている』を思い出しました。)<br>でも最初と最後のコントラスト、お見事でした。<br>(このウロボロス系、ひびきあい本を並べてみたい!!)<br>ユニコーンは、本の中から、手元のシュガーポットに詩的に帰還しましたが、<br>『貸金庫』は……、そのまま貸金庫に入っていてほしいです。<br><br>『祈りの海』、他の短編も読み終わったら、次のイーガンに行ってみます。<br>それから、お薦め SF 4 冊と、『グリュフォンの卵』収録の「クロウ」へ。<br><br>そうそう、感想(え。もう要らない?)が遅くなっていますが、<br>『グラン・ヴァカンス』『アフターダーク』『虹ヶ原ホログラフ』は読了。<br>とりあえず、お礼をです。(並んだ右から順に、面白かったです)<br>書評だけで読んだつもりにならず、やはり自分で読んでみるものですね。<br>反省しました。<br>あ、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』も読みました。<br>「がたたん」「ごととん」!<br><br><br>ところで上の日付け、『ガレオン』未読につき、ここにしばし。<br><br>ご存知かもしれませんが、復刊.com のコメント、<br>「氷の海のガレオン」については、どれも熱くて感動的でした。<br>図書館で見つけて読んで、という人が多いようですが、<br>(しかも、ちょうどリアルな年代で!!)<br>必要なときに、必要な人が、必要な本と出会えるって、必要ですね。<br>こういうふうにして、誰か(雪雪さんや、奥歯さんや)が物語を守って、<br>伝えて、手渡してくれているのだと思います。<br>「>2006-09-19 精神科の天使」が、地上に舞い降りてくるように。<br>書物という処方箋、ってあると思います。とってもよく効いてくれる……。<br>ただ、かんじんの本はあっても、<br>じっさい処方箋を書いてくれる人のほうが必要なときって、あると思います。<br><br>>『ガレオン』が帰ってくるとき、奥歯も少しだけ帰ってきます。<br>>奥歯を知らずに『ガレオン』と出会う人のもとにもかすかに。<br><br>というか奥歯さんが、「ジャイブのどなた」かの耳もとで、<br>ささやいてくれたのかもしれませんよ?<br><br>>2006-09-19 精神科の天使<br>>バーナデット・ロバーツの『自己喪失の体験』(紀伊国屋書店)<br>>近接したテーマで、本書よりも奥深く射程の長い書物は存在する。<br>>しかしぼくの目の前に、ちょっと遅い気もしたが待ち切れるタイミングで<br>>舞い降りてきて、「大丈夫」と言ってくれたのは他ならぬこの本であり、<br>>今も代りになる本はない。<br><br>『ガレオン』未読なので、奥歯さんの引用からの想像ですが、<br>どちらも「とても必要な誰かがいる」2冊だと思いました。<br><br>過去、私も、たぶん人並みくらいのツライことならあったはずですが、<br>そのときジャストのタイミングで、<br>書物によって「本当に」救われた経験は、不幸なことに、ない気がします。<br>(最悪の時に読んだ本が、感情が過敏になっていたせいか、<br> 細部までじつに沁みてくる、ということならありましたが)<br><br>で、ここを読みはじめてから、ずいぶんくやしい思いをしています w<br><br>こうして書いていただかないと、また出会えない不幸もあるでしょうから。<br>一人でも多くの「必要」な人が、『ガレオン』に出会えますように。<br><br>おさとウサギさん(「愉しい」と感じられるようになってよかったですね!)<br>と『八本脚の蝶』みたいな出会いが、たくさんありますように。<br><br><br>虹を指さすな(001)でした。<br><br>また長くてすみませんね w<br><br>「お礼まで」なので、レスお気遣いなく。よかったら消しちゃってください。<br>ただし上の「この温度にしてくれる本に二冊」だけ、ぜひっ!!! w

_ wbzrjpyh whyj (2008-10-07 11:07)

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_ zmifbgxr outhsagc (2009-01-31 15:46)

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