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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-09-05 籠の中の渡り

_ 500文字の心臓では競い合う相手であって、MSGP2006二回戦では対戦もした赤井都さんのマメBOOK作品「籠込鳥」が、アメリカで開催された「Miniature Book Society」主宰の国際豆本コンペティションで、世界中の応募作から年に三作だけ選出されるDistinguished Award Winner Booksのひとつに選ばれました。22年を数えるコンペの歴史の中で日本人の受賞ははじめてとのこと。欧米の豆本文化は大きくて奥が深いからなあ。これは快挙である。

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赤井さんの手になるマメBOOKSはいつも、書物の妖精のような夢の繭のような物語の幼虫のような連想の胞子のような、繊細で優美な形姿をそなえています。

受賞作「籠込鳥」も、今しもなにか知覚では捉え難きものが孵化しそうな、ひっそりと息づくかすかなものの気配を湛えていて、まるで竹や紙や金銀といった物質で書き留められた詩。

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「籠込鳥」はこの秋から一年間、世界のあちこちの都市で巡回展示されるそうです。

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ふと見上げれば曇天の高みを、籠の中の鳥が群れをなして、かたかたかたと空を渡っていく。

見えなくなっても見送り続ける。籠の隙間から。かたかたと貧乏ゆすりをして。