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雪雪/醒めてみれば空耳

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2006-04-15 記念は得意だけど記念日はだめです 

_ ぼくは数字が苦手で、電話番号をちっとも憶えられないし、世界史や日本史の年号なんかも自信を持って言えるものはほとんどない。知人たちの誕生日も憶えられない。憶えたと思ってもすぐに忘れる。自分の誕生日はさすがにいろんな連想と結び付いているから忘れないので、「自分の誕生日の月と日にそれぞれ1を足すとあの人の誕生日」みたいに単純なファンクションでたどり着ける場合は例外的に憶えている。ぼくにとって最も忘れてはならない人の誕生日がそういう配剤になっていたのは僥倖であった。

時間も弱い。通常、人間が先験的に携帯している何種類かの体内時計のうち、二個くらいどっかに落としてきたのではないかと思う。近接した記憶も、今日の午前中だったか昨日の午前中だったか俄かに分からなくなるし、昨日の夕食になにを食べたかなどということは、周辺の記憶を論理的に再配列してゆけば、どの夕食の記憶が昨日だったかどうにかこうにか判明するが、投入する知的リソースに引き合わない作業だ。

そういうふうなので、日付についてこだわりがない、というかこだわることができない。女性には私的な「記念日」にたいそう思い入れがある人が多くて、恋愛をしたときなどは、あらかじめ「そういう部分でのマメさを期待しないで欲しい」と断っておかないとデンジャラスであり、断っておいてもデンジャラスだったりする。

日常いろいろとリスクはあるけれどもとりあえず致命的ではないし、日付を疎かにしていても日付の精霊からクレームがついたことはないので、差し当たって安閑としている。この日記も実際の日付からだいぶん遅れて書かれたり、日付を追い越したりしているが書いている本人は気にしていない。