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雪雪/醒めてみれば空耳

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2004-06-03 世界が眼鏡をかけた日

_ 昨日今日と、気象用語で言う「大気の異常透明」で遠くがよく見える。

昨日は視程が60キロあったということだが、今日はもっと見える気がする。ふだん見えている山の連なりの向こうに、おぼろにもうひとつの稜線が見えるのもすごいが、近景の解像度がすごい。

河原に立っている樹が、一本の樹というより葉っぱの塊に見える。一枚一枚の葉っぱが自我に目覚めたみたいに、風に揺さぶられながら日の照り返しで歓声を上げている。

川向こうの遊歩道を通り過ぎてゆく自転車のおばさんの、ごきげんな表情までわかる。おめでとう。誰に会うのかな。

なんだか懐かしい気分になるのは、「はじめて眼鏡をかけた日」の印象に似ているからだろうか。

_ 昨日世界が眼鏡を拾って、かけてみたら度数が合っていて、今日はレンズを拭くことをおぼえた、みたいな。