まっくらな星空

桜沢エリカが育児エッセイマンガの中で、二番目の赤ん坊がよく笑うのを見ながら、一人目はこんなに笑ったっけ？と思うが思い出せず、そのときには忘れないでいようと強く思っていても、過ぎてしまうと忘れてしまい現在のありさまがすべてになっている、というようなことを書いていた。
まるで同じだ。子どもについての記憶の大半は上書き更新のように消えてしまう感じなのだ。
はやくも、今のように手足が伸びていないころの長男の様子でさえ、思い出せないくらい。
だから少し前に、ホームビデオカメラで録画しておいた0歳のころの長男を見たときには、衝撃を受けた。三頭身！仕草や発する声が今の次男と同じ！
たしかにそれは間違いなく長男なんだけど、でも別の生き物なんじゃないかといいたくなる。アナログに成長したとは思えない。どこかで変身しているのではないか。だとしたらそのとき自分は何をしていたんだろう。

年中いっしょにいるから変化が実感できない。
というわけで次男についても記録はマメにしているつもりなのだけれど、この先わすれてしまったときの自分にとって何が知りたいことなのか、現在の忘れていない自分にはよくわからない。いちばん大切なことは自明すぎて記録しなかったりする。
赤ん坊を育てていると「そういえば最近やらなくなったな」ということが多い。大泣きしなくなったとか、ガッツポーズ&がに股のポーズで眠らなくなったとか。そういえば、と何かきっかけがあれば気づくけれど、それはほんの一部で大半は改めて思いかけることもなく過ぎていく。 変化は変化と気づかれないまま進んでいき、油断するとあたかも変化なんて無いような気にさせられる。

次男の出産で入院が近づいていたころ、陣痛がきて病院へ駆け込む際に長男は連れて行くか行かないかどうするかと考えているとき、(そういえば前回は長男はどうしてたっけ？)と一瞬おもってしまった。そのときにお腹の中にいた当の赤ん坊が長男だというのに。
この家で、夫とふたり暮らしの期間は一年弱あったはずなのだけれど、それがどんな様子だったか思い出せないし、そもそもそんな時期があったということ自体かんがえられないくらいだ。
次男を妊娠するまで、夫と長男との３人家族で完成しているような気分で、そこにまた２人目の子が加わってくるとしてもそれはなんだか存在感が小さいようで、この先うまれてくるかもしれない子がちょっとかわいそうに感じたりもした。
けれど産まれてみれば、今や次男を欠いてはこの家族は有り得ず、存在感はありありなのだった。

ここへきて自動車ブーム。保育園のクラスメイトの子の影響でクルマが好きになっている息子1。前からクルマは好きだったけれど彼の中でブレイクしたのははじめてで、道を歩いていると走るクルマの名前を言うのに忙しい。

外に出て見るものに反応するといえば、以前、外出中に息子が、消費者金融などの看板を見ては知っていると名前を声に出して読んでいたので、これは家のテレビでCMを見ているせいだとがっかりしたことがある。
わたしは息子がCMを見るのが嫌で、テレビゲームを約束の30分以上やっているのよりも、CMを１分間でも漫然と見ている方がよっぽど気になってしまう。
そう思うのは何故かと自問するに、刺激の強い宣伝を見せたくないという内容面もあるが、それ以上に、それが次々と切り替わるのを、見る側に選択権が無いまま見せられる、というのがもう、悪！と思うのである。
CMはそれ自体はおもしろいものも好きなものもたくさんある。ただテレビはできるだけ主体的に観たいではないか。テレビを観るという行為自体すでに受け身なのだから、せめて、流れているのをぼんやり見ているということはできるだけしたくないしさせたくない。

CMを見させまいとしていたが逆効果で、息子1はわたしがCMをとばすことに敏感になってしまった。一度は夜中の寝言で泣き怒りながら、「コマーシャルとばさないで」と言っていた。
クルマがブームの今、自動車のCMはけっこう多いので、ますますCMはとばしにくくなっている。
そもそもテレビをつけなきゃいいんですけどね。

もうすっかりテレビ好きである。わたしが。
M-1グランプリまで一週間を切ったこれから年明けまで、きっとずっと忙しい。録画予約と録画したものの整理に。たいへんだ。大掃除と年賀状はどうする。

息子1の前ではできるだけお笑い番組の類は観ないようにしている。
「欧米か！」も小島よしおも、彼は保育園で憶えてきた。
だから、藤崎マーケットのラララライ！を知っているのも、保育園で皆がやっているからだよね？と、聞いてみたらあっさり否定された。
子どもたちにもウケるにちがいなく遅かれ早かれ憶えてくるだろうと、浮かれて息子に見せていたのだが、それだけらしい。
あんなにキャッチーなのにはやってないとは、フシギ。

息子や夫がリビングにいるときには、できるだけ、お笑い番組の類は観ないようにしている。
ただ、たとえば「アメトーーク！」のドラえもん芸人の回などは録画したものを一緒に観ることもある。だから息子1は「あめとーく」という番組名もスタジオセットも憶えている。ちなみにとくに好きではない。
「やりすぎコージー」は知らないけれど、今田耕司はばっちり知っていて、「むっくんもこの人好き」だそうだ。

終わってみれば、すごく楽しかった。
はじめのうちはどうなるかと思った。
敗者復活枠の発表では、あがってきてほしい組や選ばれたら複雑な気持ちになってしまうような組などいろいろいてどきどきしていたけれど、今田耕司が読みあげた名前はそのどれでもなく、二、三度名前を目にしたことがあるくらいのコンビだった。ああちゃんと審査やってるんだーと思った。そして期待した。
一回目を見終わって、このコンビ優勝しちゃうんじゃないか、それはとんでもないような気がするけどありえるぞととワクワクしていたら、二回目もまともにおもしろくて、ほんとうに優勝してしまった。

ツッコミの方の人は記号的な容姿のせいか、どうしてもボケ担当の方にばかり関心がいっていたけれど、二度みてみたらツッコミも平凡ではなかったのね。
それにしてもボケの人、中川家のお兄ちゃんにちょっと似てる・・・もっさりしてる・・・いい声してる・・・どうしてそんなにデカいジャケット・・・？

翌日から、パソコンの動画サイトで、他のネタを観た。10本ちかく観たんじゃないだろうか。みんなおもしろかった。すごい。
動画サイトではほかに、敗者復活戦での東京ダイナマイトととろサーモンも観ることができた。このあたりもサンドウィッチマンと競うくらいおもしろかったというから、さぞかし、さぞかしおもしろかったのだろう、決勝で見たかった、くそー！と悔しい思いでいたけれど、それほどではなく、納得できたのはよかった。

事務所の所在地が練馬と知って驚き、２人で住んでいるという木造アパートは板橋だと知って以前くらしていた板橋駅の近くの木造アパートを思い出し、親近感というものがわき、そうでなくてもとにかく、再来年もその次もずっと活躍していますように、と願うばかりであった。

夫が、サンドウィッチマンの三回戦のネタみたけどそんなにおもしろくなかったというので、そういえば他のネタもぜんぶおもしろいというのはちょっとおかしいかも、自分は「おもしろいに違いない」という先入見たっぷりでもって観ているのでおもしろいのか、と思ってもう一度みてみたけれどやっぱりおもしろかった。これは重症だ。
何しろ、今後も末永く彼らのネタを地上波テレビで見られることがいちばんの願いなので、自分が「M-1バブル」の泡のひとつとなっているこの現状を顧み、自粛しようと思うのであった。
そうでなくても、わらわらと放映されているネタ番組の録画と片付けに忙しいのである。
ハードディスクの容量問題は、ずっと消さずにある「仮面ライダー電王」の録画をざくざく消去していけば解消される。息子には最新の回だけを録っておけばよく、消すのを躊躇しているのはわたしだけである。
仮面ライダーといえば、カブトは少し前に見終わったので、次は何にしようかやはり平成ライダーシリーズの第一弾のクウガかな？と息子抜きで話し合いがなされていたので、祝結婚というわけではなく、オダギリジョーのデビュー作をレンタルDVDで観ていく予定。