まっくらな星空

友人の子どもは息子のひとつ年上の男の子で、友人の口調がうつり、「まあ」と言ったり、語尾が「…なのよ」となったりする。幼稚園の先生にウケるらしい。もっともだ。うちもならないものかと思っていたのだけれど、土台無理な話だった。
息子の語尾はしばしば「…じゃん」となる。「…じゃんか」にもなるのだが、それがときどき「…じゃないか」ともなる。「にんじんじゃないか！」とか。

たとえば「もらう」と「あげる」の区別がつかなかったり、助詞の「を」や 「に」の使いかたがおかしかったりと、関係性のある言葉遣いがあやしい。また、「もう」と「まだ」を同じように使う。似ているからまざる。
さいきんは、「やっぱり」という言葉がよくでてくる。が、たとえばそれが象だという推測などしていないところで「これやっぱり象さんだよ」というように、妙なところででてくるのでこっちはいちいちつまづく。何かがわかったときや何かを主張したいときに、「ヤッパリ」と言ってみたくなるのだろうか。

という具合に、まだまだ息子の話はよくわからない。たぶん、同い年の他の子に比べてわからなさが多い。保育園ではひときわ口数がすくないらしい。
本当かどうかわからないが、別の友人の子どもはこういう意味不明なことを言う時期がほとんどないまままともに話すようになっていたらしい。残念でも喜ばしいことでもどちらでもないように、そう言っていた。でも確実にわたしは、息子にそういう時期があるのをラッキーだと思ってしまった。息子自身の苦労もわすれて。

有名人でもそうでなくても好きな人が多くて、その中には一時的に好きな人とそうでもない人といろいろいるが、いまたぶん一時的に小出恵介（有名人のほう）が好きで、名前や演技を目にする機会が重なり、検索したらホームページで日記を書いていてその文体がちょっと気に入ったのだった。一人称が「おいら」というのはどうかと思うが。
ごくせんという人気ドラマにも出ていたようだが仲間由紀恵という女優がかなり受けつけがたく、そのドラマはみていなかった。ただ小出くんみたさに再放送を録画してみた。そこでは、不良高校生が「にゃおーん」とか言ってたぞ。木更津じゃんか！キャッツアイね。世間の人はパクリだと叱ってくれていたのだろうか。

しばらく前、夫がめずらしくテンション高く「『のだめカンタービレ』がドラマ化だって、月９で！」と教えてくれた。フジテレビ月曜日21時からのドラマですね。
実写化するとしたら誰かねえ、と前に話をしたときにわたしは深津絵里を推した。でも年が違いすぎと却下された。聞くと主役は上野樹理だと。まあいいや。ただ、ああ、千秋真一役が玉木宏だと。観ない、とそこで決めた。
しかし気になる「真澄ちゃんは？？」誰だろう。その時点では不明だったがのちに、小出恵介だと判明。すばらしい。キシリッシュのCMでもわかるように、コメディもできる子だよあのこは。 やっぱり観ようっと。例によって録画して早送りで。

日曜日の21時からのTBSのドラマを毎回観ている。ゲイの阿部サダヲ、すごくいい。劇団ひとりも期待どおり好調です。
このドラマは形式めいていて、毎回お約束がある。その一つが盛り上がり場面で誰かが感情的になり攻撃的ことを言いったあとでおもに父親から出てくる「そんなこと言って誰がハッピーになるんだ！」という台詞。正直、はじめてのときにはちょっとじんときました。でも次の回もでてきたときには引いた。小物的なお約束は嫌いじゃないけど、それが中心にきたら『水戸黄門』だ。
ただ、この、みんながハッピーにならないことは言ってもしかたがない、言うべきではない、という命題のおかげで、自分の中にハッピー原理という名前ができて、日常悩むときに効率がよくなった。

職場でときどき「ハッピー」という言葉が使われる。それは「好都合」「不利益がない」というような意味である。「ハッピー原理」という場合、このような意味も含んでいることにする。
その原理においては、個人はさまざまな役割を持っている。役割は自分で選びとるというより、所属する場、団体の中でおのずからすでに決まっている。
個人のかけがえの無さは低く、同じ機能を果たすならば別の個人でもいい。名前は便宜のためにある。
一個人に帰属する役割は、場面ごとの一時的なものから恒久的なものまで複数ある。それは仕事であったり、立場であったり、態度であったり、受け答えであったりする。
その中で、みながハッピーであることを最優先にすること、これがハッピー原理である。
最大多数の最大幸福というやつを、自分にしっくりくるようにいいかえてみただけといえばまあそう。

もちろんこれでは、不幸な人間のその個人的不幸さが取り残されることが多くなる。 たとえそこに、他人を傷つける者、他人の所有を搾取してまで自己の利益を追求するような者がいなくても、そうなのである。
いわゆる悪い人がいなくても、ハッピー原理では何かが残される。今はアンハッピーだが改善すべく鋭意努力中、というわけでもなく、はなから存在を認められないものが。