夜の旅

突然の稲妻のあと、娘の耳が消え失せる
残ったのは小さな陶製の豚
つるっとしたすてきな耳だったのにね

静寂から笑いがあふれて止まらない
つぎつぎと暗闇の海綿に吸い込まれて

燃えあがるような娘の眼つき
動物の瞳が暗く澄みわたっていくので
私はべつの旅行の支度をはじめる