いちまいの葉書きから樽の雨が降りさす。
はがねの明るさでめぐり逢った田園と水。
やわらかい泥土をよそおった貝殻をまんめんの笑みにうずめ
降る。
そばの地平にぶらさがってたうつろいの色も
もう垂直にさざめく波となって
黒い鳥を向こうへ追いやる。
野はまばらな木立が形づくられはじめた。
見るまに生育、でかい雲の階段を築きあげる。
なんとも身近な匂いのする。
この景色をからかうのは今日でもいいし、
べつに十年後だってかまわない。
葉書きをしたためる人、
あんたがその波を飲みほせるなら。